1枚の布の物語

涼しくなってきたのでちょっと針を持つのがたのしくなってきました。
今朝アイロンがけをしたのは赤い絹。
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きっとずーっと昔に
お嬢さんの着物を作ってあげようとしたお母さんかお婆ちゃんが
「この着物の裏地にはこれだね」などと言いながら
選んだ生地だと想います。

ハレの日に、大事に着た着物は
時代とともにタンスのなかで眠り続け
あるとき「もう着るひともいないから処分しましょう」ということで
なにかしら縁あって私のところに来たのです。

狭い部屋で糸くずまみれになりながら
着物のすべてのパーツをほどき
色分けして手洗いし、缶にいれて保存しておいた布。

気がむいたときに気がむいた布を選んでふんどしに仕上げます。

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端の始末をして、また手洗いしました。
赤は色落ちしやすいからです。
石鹸水を作って、じゃばじゃばじゃば….

過ぎ行く夏を惜しむかのようにチリンと鳴る風鈴の横で
風に吹かれます。
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布もひとの意識を向けられる度に微妙に変化するように思います。
工場で合理的に量産されるふんどしにはない物語のふんどしが
こうやってできていくのです。

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