アジア舞台芸術祭 2009 IN TOKYO

東京芸術劇場で開催されている「アジア舞台芸術祭 2009 IN TOKYO」を見に行ってきました。

この催しは、2002年に東京で開催され、2003年デリー、2004年ハノイ、2006年台北、2008年ソウルとアジアの各都市をまわり、今回は再び東京に帰ってきたものです。
アジア、舞台といって私がすぐに連想するのは、舞踏です。
ほんのちょっとだけ舞踏の経験がありますが、そのときの身体の使い方から学んだものはとても大きかったからです。
今回は4日間にわたって各会場で様々な出し物を見ることができます。
私は事前にネットで申し込みをして、初日に出かけました。
最も注目したのは「KAPPA」という作品です。
花伝「KADEN」シアターカンパニーの岡田圓氏が、ベトナム水上人形劇の短編をアレンジして現代との融合を試みたものです。

高くそびえ立つお城の前に広がる水の中で、それは行われました。
音楽とともに水面に出てきたのは、金色の龍。おそらくは水の象徴です。
そしてカップルの鳳凰が仲睦まじく卵を産み、人は水辺で遊び、行水をしたり水に親しみます。
水中の生き物たちは、そこでの暮らしに満ち足りていたはずなのですが
ある日、人間によって文明とか進化とか権力とかいうものが近づいてきます。
水の生物を代表するカッパは、つい心を奪われて、それらを手にしようと水から上がっていきます。
このあたりは、カッパに扮した役者さんが、水の中から現れてパフォーマンスを行うのですが
全身びしょぬれで、観ている私も寒くなりました。
しかし、カッパが魅力在るものにつられる様子、そして時が経って、自分がなにをしたか、間違いに気づく後悔の様子などは、身体の動きだけでありありと感じとれました。
台詞のないものは、身体の動きに観客の注目が全て注がれます。
この場合のパフォーマンスはカッパの衣装を付けての表現なので
人に伝えるには、かなりの激しさ、力強さが要求されると思いました。
立ち姿の腰の位置、歩く時のつま先の角度、外観を真似ようとするのは難しいことです。
しかし、ここではカッパを表現するというより、演者はカッパになっていました。
私が見たのは、カッパでした。。。。。(^^)/
不気味で、哀れで、無邪気な水辺の生き物でした。
人形劇としてみるだけでも十分楽しめましが、カッパさんにじっと注目してみると、その熱が感じられます。
冷たい水の中でのこの演技は素晴らしいです。。。。。。
身体を使った表現は、身体以上に心が入ることが大切だと思います。
そのものに成りきるとき、それは決して単なる出し物、作り物ではなく
人の心をノックする感動というものが味わえるのだと思います。
カッパをそそのかす役の女性の発声は、とてもしっかりしていて、聞き取りやすく情感に溢れ、特筆すべきものでした。

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